就職はこれからの生き方を決める大切なターニングポイントです。
就職活動をしていると、募集職種欄にある「総合職/一般職」という表記を、誰しも一度は目にしたことがあるはずです。でも総合職と一般職がどのように違うのか、あやふやな方も多いのではないでしょうか?
この記事では、知っているようで実は知らない「総合職/一般職」の違いについて、詳しく解説していきます。
総合職と一般職、どう違うの?
総合職と一般職では具体的にどんな違いがあるのでしょうか?
大きく分けると4つの違いがあります。
(1)業務内容
まず挙げられるのが、業務内容の違いです。
総合職は営業活動や経営企画など、総合的判断が必要な事業の中核となる業務に従事します。大きな責任を伴うためプレッシャーを感じることもありますが、その分やりがいも大きいと言えるでしょう。
それに対して一般職は、主に定型業務に従事することがほとんどです。
事務や経理などの総合職をサポートする仕事が多く、責任やプレッシャーも比較的少ないことが多いようです。
(2)待遇・給与
基本給は責任が大きい仕事に従事する総合職の方が一般職より高く設定されており、昇給も大きい場合が多いです。つまり、同じ企業に同期入社をしても、総合職か一般職かで給与に差が出ることになります。
一般職でも昇給・昇進はありますが、たとえば一般職では係長までしか昇進できない、昇給は年に数%だけなど、上限が決められていることが多いようです。
(3)転勤・異動
総合職は将来の幹部候補でもあるため、仕事内容は多岐にわたり、いろいろな部門を経験することになります。ずっと同じ業務に携わっていくことはあまりありません。
さらに総合職の場合は、企業の業務内容を包括的に理解してもうらために職種転換が行われることもあります。それに伴って、国内・海外への異動や転勤も発生します。
一方、一般職では転居を伴う異動は原則的にありません。
(4)選考時期
基本的に総合職の採用が一段落して落ち着いた頃に一般職の選考を開始する場合が多いです。時期が異なることもあり、総合職と一般職で迷っている人は、どちらの選考も受けることが可能です。
しかし、同じ企業の総合職と一般職を併願することはほとんど認められていないため、総合職と一般職の併願は別の企業でしなければなりません。企業に対する希望度を元に、どの職種を受けるのか判断が必要です。
そもそも何で分ける必要があったの?
そもそも、なぜ総合職と一般職を分ける必要があったのでしょうか?そこには日本社会ならではの事情がありました。
昔は男女別に募集するのが普通だった?
「一般職/総合職」という言葉が使われるようになり始めたのは1986年頃のことです。きっかけとなったのが、その年に施行された男女雇用機会均等法です。
有名な法律ですので、みなさんも聞いたことがあると思います。趣旨は「男性や女性という性別による区別ではなく、仕事の中身や成果によって評価をしましょう」というもの。
ちなみに、法律ができる前は男性/女性と分けて募集されていました。「男性の募集はありますが、女性の採用は受け付けていません」など、今のご時世では考えられない採用情報が溢れていたのです。
しかし、男女雇用機会均等法が制定されたことによって、企業は男女別の募集・雇用をすることができなくなってしまいました。そこで、「総合職/一般職」といったコース別雇用管理制度を導入する必要が出てきたのです。
総合職も一般職も、名目上は法律に則り、男性/女性を問わず募集をしていました。しかし当時は、女性が結婚を機に退職することが一般的な時代。転勤がある総合職を選ぶ女性は、ごく少数です。これが企業の目論見かどうかは定かではありませんが、こうして女性は一般職、男性は総合職、という暗黙のルールができていったのです。
総合職と一般職の壁がなくなってきた
近年では、総合職=男性、一般職=女性という考え方は変わりつつあるようです。
国も方針として、2020年までに女性の管理職比率を30%にするという目標を掲げており、総合職として働く女性も増えてきています。
また、業務内容も企業によって多様化してきています。たとえば、一般職でありながらある程度の裁量権をもってプロジェクトを任されていたり、転勤や異動のない総合職という働き方をすることも可能です。以前のような「総合職/一般職」の垣根はなくなり、男性/女性に関わらずさまざまな働き方が選べるようになってきています。
職種によって適性が大きく異なる
総合職と一般職、どちらが優れているということではく、それぞれの働き方にメリット・デメリットがあります。どんな将来像を描いているのか考えてみると、自分がどちらに向いているのかがわかるかもしれません。
ここでは総合職と一般職、それぞれに向いている人の特徴について書いていきます。
キャリアアップを目指すなら総合職
大きなプロジェクトや出世を希望するなら、総合職が向いています。
ここまでのビジョンや野望がなくても
・社内である程度決まった仕事をするより外に出たい
・業務内容を自分で考えてどんどん変えていきたい
・企画や営業がしたい
という希望がある場合には、総合職を目指してみると良いでしょう。
プライベート重視の働き方なら一般職
転居を伴う転勤はできない・したくないという方もいるでしょう。また、現在のことだけでなく、結婚して子供を産んで……といった将来ことも考えながら、決める必要があります。
一般職ならば仕事の責任が大きくない分、プライベートに使える時間が多い傾向にあります。
ただし、待遇面ではどうしても総合職に比べてマイナスになります。どんなにスキルを磨いても給料が上がらないかもしれない、というリスクを考えて検討しましょう。
人気企業の一般職は高倍率
定型的な業務で残業も少なく、安定して高い収入が期待できる一般職は高倍率になる傾向があります。
そもそも事務系の仕事はAIなどへの切り替えが進んできており、募集枠自体が少なくなってきているのが現状です。そのため、事務としてどのようなキャリアを築いていこうとしているのか、どんなことを実現したいのかを、自分の中で明確にしておくことが必要です。
転勤しなくてもよい総合職「地域総合職」
企業によっては「地域総合職(エリア総合職)」を設けている場合があります。転居を伴う転勤がない総合職のことを差しますが、職務内容は企業によって異なっています。
総合職と同レベルの仕事内容で、昇進や昇給も同列の会社もあれば、限りなく一般職に近い仕事内容の会社もあります。
総合職と一般職の切り分けは企業によって違う
ひとことで「総合職/一般職」といっても、企業によって業務内容は異なります。明確な定義や区分があるわけではないので、どうしてもバラツキが出てきてしまうのです。
総合職と一般職、どちらが自分に向いているのか迷ったときには、実際に企業に勤めている先輩に聞いてみるのが一番です。
OB・OG訪問を活用しよう
所属しているゼミやサークルに志望する企業のOB・OGがいれば、その方に「OB・OG訪問をさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」と連絡をしてみましょう。
このような繋がりがない場合、まずは大学のキャリアセンターに行ってみましょう。大学が卒業生の就職先のデータを管理していれば、連絡先を教えてくれるはずです。
企業ごとに確認したい違い3つ
総合職/一般職を選んだ場合のキャリア
実際に入社してからのキャリアプランを考えておくことは、思っているよりも大切です。入社してから「一般職はどんなに努力しても係長止まりか…」とガッカリしないためにも、きちんと確認をしておきましょう。
総合職/一般職は相互にキャリアチェンジできるのか
働き始めてから環境の変化などによって、どうしてもキャリアチェンジをする必要が出てきてしまう可能性もあります。
総合職から一般職への転換を希望できる企業は比較的多いようですが、逆のパターンを認めている企業は限られているようです。特に一般職を志望するのであれば、しっかりと確認しておくようにしましょう。
男女比や働き方の傾向
「一般職は女性が多い」「総合職は残業が多い」といったイメージを持っている方もいると思います。ですが結局のところ、企業の中にいる人間にしか実態は分かりません。
口コミや会社ホームページなど、インターネットの情報だけを鵜呑みにして判断してしまうと、誤った決断をしてしまう場合もあるので注意が必要です。
将来像を思い描いてみよう
総合職か、一般職か。どちらが正解ということはありません。どちらにも良さがあり、どちらにも考慮すべきポイントがあります。
ただ一つ、知っておいてほしいことは「目先の条件だけで判断してはいけない」ということ。
自分が将来どうありたいのか?仕事とどう向き合っていくのかまでしっかり考えることで、理想のキャリア、人生に一歩、近づけるはずです。